債券を購入する際、投資判断の一つに利回りがあります。しかし、この利回りにはいろいろな種類があり、それらを理解せずに債券投資をしてしまうと想定していた収益と全く異なった運用成果になる場合があります。
今回はこの利回りについて説明します。
利回りと利率
まず債券の利率についてです。割引債等を除き一般的に債券投資をすると利息を受け取ることができます。この利率は一般的に額面(100)に対して何パーセントの利息が出るのかを表しています。
こちらについては以前の「債券の価格とは?」をご覧ください。
債券の価格とは?
この債券の利率が現在の債券価格だと何パーセントになるか?を表しているのが利回りになります。
直接利回りと最終利回り
利回りにもいくつか種類があり、一般的によく用いられるのが「直接利回り」「最終利回り」になります。
これらの利回りは全く異なる計算方法となるため、しっかりと意味を理解しておかないと債券の正しい投資判断が出来なくなります。
直接利回り
直接利回りは今の債券価格だといくら利息がもらえるか?を表しています。
例えば利率が5%(年率/税引前(以下同じ。))の債券を債券価格120で額面100万円分購入したとします。
債券価格120ですので買い付け金額は120万円になります。そして、この場合5%は額面(100)に対して5%となりますので、120万円で購入したとしても利息は5万円です。
この5万円は120万円に対しては約4.17%となります。
これが直接利回りとなります。
直接利回りの計算式
※小数第3位以下を四捨五入しています。
最終利回り
次に最終利回りです。
一般的に債券投資をする場合はこちらの利回りの方が重要になります。
そのため、債券の詳細を確認した際、利回りや参考利回りといった表記しかない場合は、この最終利回りが用いられていることが多いです。発行された時の最終利回りのことを応募者利回りと呼ぶこともあります。
債券のパンフレットやホームページ等に記載されている利回りがどの利回りを表しているかがわからない場合はその金融機関に問い合わせてみてください。
債券は、基本的に償還する時に額面で返ってきます。
ですので、直接利回りで解説した債券(利率5%、債券価格120を額面100万円分購入)の場合、120万円で買い付けし償還になると100万円で返ってきますので20万円減って返ってきます。この部分も考慮したのが最終利回りとなります。
例えばこの債券が償還までちょうど10年だったとします。
すると5%×10年で50%、つまり合計50万円の利息を受け取ることが出来ます。
しかし償還時に20万円の差損が出ますので、差し引くと30万円の利益となります。
これを1年あたりで表すと30万円÷10年で1年あたり3万円の利益となります。
この3万円の利益は投資金額の120万円に対して2.5%となりますので、最終利回りは2.5%となります。
最終利回りの計算式
※上記計算式は単利ベースとなります。
最終利回りが重要
上記でも説明しましたが、債券の利回りは最終利回りが重要になります。
これは債券で運用する投資信託の月次レポートにも載っている場合が多く、投資の判断に欠かせないものとなります。
債券に投資をする際はぜひ参考にしてみてください。