個人型も企業型も加入者の増えている確定拠出年金ですが、万が一受け取る前に亡くなってしまった場合はどうなるのでしょうか?
このコラムでは確定拠出年金の加入者が受け取る前に亡くなってしまった場合について説明します。
老後の資産形成が話題となり、確定拠出年金を始める方が増えています。
毎月少しずつ拠出品が将来に向けて資産形成をしているつもりでも、人生は何が起こるかわかりません。
もし、確定拠出年金を受け取る前に亡くなってしまったら拠出したお金はどうなってしまうのでしょうか?
確定拠出年金を受け取る前に亡くなってしまった場合
確定拠出年金を受け取る前に亡くなってしまった場合には、投資信託等は売却され、売却された上で遺族がその全てを「死亡一時金」として受け取ることが出来ます。ただし、確定拠出年金の資産を死亡一時金として受け取るには、給付の申請が必要となります。この手続きには期限があり、死亡後5年を過ぎてしまうと相続人のいない相続財産とみなされて、国庫に帰属することになり、遺族が受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
死亡一時金の受取順位
確定拠出年金の死亡一時金を受け取れる遺族の範囲や順位については、一般的な民放の相続順位とは異なるので注意が必要です。特に何も指定が無い場合は配偶者の優先順位が1番高くなります。もし配偶者がいない場合は死亡した人の収入によって生計を維持していた人が優先されます。
また、生前に手続きをしておけば、受け取る人を指定することもできます。
指定できる人は法律で決められていますが、配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹のうちから指定することが認められています。
確定拠出年金では一般的な民放の相続順位に比べ、生計の維持に重きを置かれます。
そのため、確定拠出年金における配偶者は、事実婚の状態であっても対象者としてみなされることとなります。
受取人の優先順位をまとめると以下の通りです。
- ①指定受取人
- ②配偶者(事実婚含む)
- ③配偶者以外で亡くなられた方の収入によって生計を維持されていた人
- ④子供
- ⑤父母
- ⑥孫
- ⑦祖父母
- ⑧兄弟姉妹
- ⑨相続人
確定拠出年金の死亡一時金を受け取る場合の税金
確定拠出年金加入者が亡くなり、遺族が死亡一時金を受け取った場合はみなし相続財産となり相続税の課税対象となります。確定拠出年金の場合は死亡退職金と同じ扱いとなるため、 一般的な相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠とは別で「500万円×法定相続人の数」が非課税限度額となります。
ただし、死亡から3年が経過した後に受け取る場合は「一時所得」となってしまいます。
この場合は死亡退職金の非課税枠は無くなってしまいますので早めに受け取るようにしましょう。
家族と情報共有しよう
企業型確定拠出年金等、企業で加入されている方は大丈夫かもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は加入していることに遺族が存在に気が付かないという可能性は0ではありません。相続の話はいつ発生するかわかりません。これは確定拠出年金に限らずですが、家族で自身の財産がどこにあるのかを話し合っておくことが大事になります。