相続・・・と言うと「うちは財産がないから、関係ない」「家族仲が良好だから関係ない」などと言われることが多いです。
中には「自分の死んだあとのことは関係ない」というお声をいただくこともあります。
人は生まれたら亡くなります。亡くなるということは、ご自身の「相続」を誰かにしてもらわないといけないのです。相続は財産の有無に関係なく誰にも起こるのです。
①うちは財産がないから関係ないのか・・・
司法統計によると、2020年に起こった相続争いの調停・審判は14,617件にのぼります。このうち遺産をどう分けるかでもめた争いは1,000万円以下が34.7%、1,000万円~5,000万円以下は42.9%に上ります。
つまり、8割が財産が5,000万円以下のご家族なのです。
都心部で住宅を保有している方は3,000万や4,000万はゆうに超える場合が多いですよね。
相続が争族になるのは対岸の火事とはいえないのです。
こういった場合でなぜ揉めるかというと、ご家族によっていろいろなケースがあり、一外には言えませんが、都心部で3~4,000万円を超える両親の実家の不動産。現金は少ないケース。自宅を売却するのかしないのか、売ってお金にしたい人、使いたい人、思い入れがあって手放したくない人で意見がわかれたり、代表して一人が相続するとなると、もらえなかったきょうだいからはそれに相当する現金がもらえればまだ納得できるかもしれませんが、もらえない場合どう分けるかでもめるのは容易に想像がつくと思います。
②家族仲が良好だから関係ない・自分が死んだあとのこと・・・
相談に来られる中には「うちは家族は仲がいいんです」と仰り、いざ、ご家族全員揃ってお話してみると、皆さんの足並みが揃わないことがあります。少し前にどこかのCMで「わかったつもりが二人を遠ざける」というキャッチコピーがありましたが、まさにその通り。
かたや「相手はわかってくれている、夫婦仲は、家族仲は良好である」と思っていても、相手がそう思っているかどうかはわからないものです。
「仲がいい」というのはいつの時点のものでしょうか。定期的に意思疎通をはかっていますか?日常生活の少しの不平不満は相続という、家族一丸となって乗り越えなければいけない問題の時に一気に怒りや憎悪といった感情となって吹き出てくることもあります。
亡くなってからもめてしまうともはやその前の状態に戻るのは難しくなります。
まして①のように調停や審判に進んでしまえば、良好な家族関係に戻ることはますます難しくなるでしょう。
家族が相続に向かう前には家族関係を本質的に「良好なもの」にする必要があります。
そのためにはどうしたらよいのでしょうか。また次回お伝えしたいと思います。