世界最大の経済大国であるアメリカの大統領選。なぜこんなにも世界中の人に注目を浴びているのか、だれが立候補しているのか。簡単にまとめてみます。
だれが立候補しているの?
アメリカの大統領選挙はふたつの党の代表者が候補者になります。 まずそれぞれの党内で誰を候補者にするかの予備選挙が行われ、党の指名を受けた候補者二名によって本選が行われます。
現職のトランプ大統領が再立候補を希望して党側も了承したため、共和党の候補者はトランプ大統領です。
対する民主党は、2019年から行われていた候補者選びを勝ち抜いたバイデン前副大統領を指名する予定になっています。
したがって、今年の大統領選は共和党のトランプ大統領と、民主党のバイデン氏の戦いになることが予想されます。
現職が有利なはず……だけれども?
アメリカ大統領選では現職が有利だといわれています。
経済大国アメリカの大統領を知らない人はいないという圧倒的知名度と、発言や行動が世界中に報道されるという注目度の高さが後押しするからです。
また、党内の指名を勝ち取ってから大統領選のスタートラインに立つ対立候補に比べて、資金集めや支持者の囲い込みなどの基盤つくりに時間をかけることができます。
第二次世界大戦後に行われた大統領選挙の中でも現職大統領の再選率は約70%になっています。
では今回、トランプ大統領は再選できるのでしょうか。アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、8月2日時点での支持率の平均値はトランプ大統領が42%、バイデン副大統領が49.4%となっており、バイデン氏が7.4ポイントリードしています。
マサチューセッツ州のエマーソン大学の全米世論調査内の「11月にだれに投票するか」という問いに対しても、トランプ大統領が46%、バイデン氏が50%となり、こちらもバイデン氏が優勢との結果を発表しています。これらの調査結果より、現時点ではトランプ大統領が再選できるとは言えません。
また、トランプ大統領は大統領選挙の勝敗を左右するとみられている重要な州の多くでもバイデン氏に劣っています。
ではなぜ、優勢のはずのトランプ大統領はなぜ苦戦を強いられているのでしょうか。一言で言ってしまうなら「新型コロナの影響」です。
もともと支持率の低迷に苦しんでおり、大統領選時期に巻き返しを図ろうとしていたトランプ大統領の出足を挫く形になりました。
アメリカは個人投資家が多く、一般の家庭でも有価証券の保有率が高い特徴があります。アメリカで支持を得るためには株価の上昇が不可欠です。
感染の封じ込みも重要ですが、トランプ大統領としては経済回復のため、早期に経済活動の再開を呼びかけました。
同調した共和党州知事らの緩和によって経済活動が再開された南部州では、感染者が急増しています。
コロナの対応への不信感はさらなる支持率減少の一因となってしまいました。
バイデン氏が勝利するとどうなるの?
バイデン氏は前バラク・オバマ政権の副大統領で、オバマ前大統領の後継者を自任しているため、基本的にはオバマ政権時の方向性に戻ると予想されます。
バイデン氏が大統領候補に正式指名された当初はトランプ大統領が進めてきた法人減税や規制緩和を元に戻す恐れがあるため、株式市場にとってはマイナスに働くと言われていました。
しかし、新型コロナの影響により経済停滞が広がっている現状ですぐさま増税を行うというのは合理的ではありません。
また、中国との緊張が緩和へと向かうのであれば、株式相場にとってはプラスに働きます。
そのため、バイデン氏が勝利した場合、トランプ大統領が再選すると考えていた人々の影響により、株式相場には一時的な混乱が生じる可能性はありますが、どちらが勝ってもそこまで大きく変わらないのではないかとの見方も広がっています。
今後の日程は?
8月中に各党内で全国大会が行われ、正副大統領の指名候補を選出します。
9月下旬の両大統領候補によるテレビ討論会を皮切りに、副大統領候補による討論会も合わせると合計四回の討論会が行われます。
最終的には11月3日に大統領選の投開票が行われて、来年の1月20日からは次期政権が発足します。
2020年のビックイベントであるアメリカ大統領選まだまだ、どちらが勝つのかわからないので、今後の両陣営の行動に注目です。
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