原油先物価格がマイナスに!?それってどういうこと?
2020年4月20日、ニューヨーク市場のWTI原油先物価格が史上初のマイナスとなりました。原油価格がマイナスで取引をされていると聞くと、いったいどういうことなのだろう?と疑問が湧いてきます。
今回はその原油先物の仕組みについて解説いたします。
原油等の商品先物とは物の未来の価格を取引するものになります。
例えば企業が1年後に原油が必要であるとした時に、1年後はもしかしたら原油の価格が上がってしまっているかもしれないという価格上昇のリスクを考えなくてはいけません。先物とはそんな時に1年後に取引される価格を今の時点で決めてしまうことができます。そのため、一口に原油先物といっても何月に取引される原油先物であるかによって値段が変わってきます。
商品先物取引の取引期間には期限があります。そしてその取引の最終決済月のことを限月と呼び、取引が行われている直近の限月を期近、その次の限月のことを期先と呼び、今回マイナスになったのはこの期近の価格です。
商品市場では購入資金の調達金利や現物の保管コスト等があるため通常期近の価格は期先の価格より安く取引されます。この状態をコンタンゴと呼び2020/4/20(NY時間)現在も期近の価格はマイナスであるけれど、期先の価格はプラスで推移しています。この日の価格は一時期近が約▲40ドルという取引価格でしたが、期先は約+20ドル程度で取引されており、期先と期近の差額は60ドルという超コンタンゴと過去にない異常事態となりました。
今回の原油価格が大きく下落した理由は新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な石油需要の減少によるものです。世界中でコロナウイルス感染拡大防止策として外出制限等が行われ、ガソリン等の需要が大きく落ち込みました。
通常は石油需要が減少したとしても在庫として貯蔵しておくことが可能ですが、今回のコロナショックによる影響が大きく貯蔵能力の上限に達してしまう可能性が懸念され、期近の原油価格が急落しました。現在の期近の価格がマイナスという状況は、もう原油の行き場がないのでお金を払ってでも引き取ってもらうという状態になっているのです。
原油への投資についての注意点
原油が下落すると度々話題になるのがWTI原油価格連動型上場投信(1671)というETFへの投資です。原油先物に投資をしているこのETFは原油価格に連動するようなETFとなっているため、原油が急落した時に将来的な値上がりを期待して買い付けをされる方が多いです。
しかしこのETFは原油を直接保管しているわけではなく、先物へ投資をする形になっています。そのため期近の先物が期日を迎えると期先へ乗り換える必要があり、今回のような状況で期近から期先へ乗り換えると価格差60ドルがコストとしてかかることになります。 今回の事態が異常であったと考えても通常期先の方が期近よりも高いことから常にこの乗り換えるためのコストが発生してしまうのです。
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